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第3回 「第三の道」はいらない
日曜日の参院選投票日を前に、7月26日の『朝日新聞』にPOSSEの今野晴貴さんの論説が出ていた。題は「上の世代だけに任せるな」。今つくられる制度は将来を生きる若者にとって重大問題だ。だから若者は積極的に政治参加しなければならない、と今野さんは訴えていた。
今野さんによれば、若者は「第三の道」というのを求めるべきなんだそうだ。↓これについてはPOSSEのサイトに詳しい説明がある。
http://npoposse.jp/style3/
これまでは、労働のあり方が二つあった。「正社員」と「非正社員」だ。これが「第一の道」と「第二の道」。この二つは対等な関係になくて、「正社員」が「非正社員」のウワマエをハネてきた。また、「正社員」には「自由」がなく、「非正社員」には「安定」がない、っていうように、どちらも魅力的な選択肢とは言えなかった。
しかも経済の仕組みが変わったので、多くの若者に対しては「第一の道」は閉ざされてきた。でもって、これからもかつてのような安定した仕事が復活することはないだろう。
じゃあどうするのか?
そこで「第三の道」である。POSSEは、これをstyle3と呼んでいる。
これはまず、「正社員」か「非正社員」かっていう二者択一に代わる選択肢っていう意味だ。また、「3年で辞める若者」というステレオタイプに対して、3年で辞めたっていいじゃないか、っていうのを掛けているようだ。
つまりPOSSEの人々は、いつでも安心して仕事を辞めれる社会にしようぜと言っているのだ。会社に所属し続けなくても生きていける世の中だ。
仕事が嫌いな人間は、「第三の道」を歩むべきだろうか? style3が目指すのは、こんな社会らしい。
私たちは、会社を変えても、どんなシゴトをしているかで評価される社会を求めます。性別や雇用形態、勤続年数で差別される社会ではなく、職種で評価される社会を―。
僕はこれを読んで、お茶を煎れに走った。口いっぱいに含んで吹きだすためだ。
「第三の道」を歩いていってトンネルを抜けると、そこにもシゴトが先回りして待ってるのか。しかも、働かなきゃならないだけじゃない。仕事ぶりで「評価」されてしまうのだ。賃金も「シゴトを基準に」決められちゃうらしい。
もちろん、POSSEの人々は、気軽に仕事を辞めれるようにするための提案もしている。失業保険や生活保護や最低賃金をパワーアップさせたりっていうようなことだ。あと、「性別や雇用形態、勤続年数」による差別をやめれと言っている。
だけど「シゴトを基準」の差別はOK。っていうかむしろそれを目指しているのだ。
POSSEは、さらに職業訓練制度の見直しを求めている。これまでは、企業内で研修が行われてたので、「正社員」しかその恩恵を受けることができなかった。だから、「非正社員」にはキャリアアップの可能性がなかった。
style3では、ニートでもフリーターでも、国や自治体がタダで職業訓練をしてくれる。「国家資格」とかももらえるらしい。これをPOSSEは「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」と呼んでいる。
けど、「トレーニング」って、それって、けっきょくシゴトみたいなものなんじゃないだろうか? それかオベンキョウとか。「無料の職業訓練システム」っていうけど、それってシゴトモドキをやらされてるのに金はもらえないってことでもあるんじゃないだろうか?
フリーターが「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」をやるのは、残業代の出ない残業に行くようなものだ。ニートがやったらタダ働きである。
「第三の道」の社会では、会社をいつ辞めてもいい。だけど会社を辞めても、別の会社やシゴトモドキが待っている。
というわけで、どの「道」も、結局はシゴトに支配された一つの道である。
POSSEの文章はこう締めくくられている。
私たちの提言する「第3の道」は、会社の規模や、会社への忠誠心、そして正規・非正規によって人間の評価が決まる社会から、シゴトの内容を基本とした社会への転換を目指したものです。それは、「3年で辞めてもいい」社会です。「自由」を犠牲にした正社員か、安定を得られない非正社員かの二者択一を迫られません。自由に職場を選択し、なおかつ安定して生きられる、そんなライフスタイルです。私たちはそれを「style3」として、提案します。
だが、シゴト嫌いの人にとってこの「選択」は、「私飲めないんです」という人が飲み会で「黒ビールもあるよ。生レモンサワーもあるし。あ、いいちこのお湯割なんかどう?」と迫られるようなもんだ。
ちゃぶ台をひっくり返すか、床に固定式のテーブルの場合は、さっさと帰るのが吉だ。
(もちろんPOSSEにも色んな考えがあるでしょう。これは今野さんの論説と、上のリンク先の文章だけに対する感想です。)
感想はこちらへ
いままでの「共産主義、入門中」
2007.7.13 第1回「宝くじと教育の不平等」
2007.7.23 第2回「努力が報われる社会」にNO!
